桜桃
特別お題「青春の一冊」 with P+D MAGAZINE
ドラマなんかとはかけ離れた、地味な青春時代でした。
太宰治が好きでした。
亡くなった日を桜桃忌といいます。
桜桃とはさくらんぼのことです。
学生の頃、持ち回りで文学作品について調べ、発表するという授業がありました。
偶然、私の発表する日が、桜桃忌だったのです。
そこで取り上げる作品を、太宰治の桜桃にしました。
私なりに一生懸命、調べて発表。
ドキドキしながら先生の評価を待ちました。
先生は
「私たちの年代なら、この作品を取り上げるのはわかるが、あなた達の年代で、この作品を取り上げる意味がわからない」と、散々な評価でした。
「最近の学生はミーハーすぎる」とも。
作品の一文を時々、思い出します。
「子どもより親が大事と思いたい」
子どもが産まれ、自分より子どもが大事になりました。
「思いたい」と書いた太宰治の心情、そして先生の
おっしゃった意味が、少しずつわかってきたような気がします。
ほろ苦い、青春の一冊です。